Trauma

トラウマについて

※このページを読むことによって、辛い気持ちになったり、フラッシュバックが起こることがありますので、当事者の方は特に注意してお読みください。

① PTSD・ショックトラウマ

過覚醒

トラウマによって、著しい恐怖や不安を体験すると、身体の過剰な興奮がいつまでもおさまらずに続くことがあります。そのために、人ごみなどを過剰に警戒したり、日常の生活音に過剰に飛び上がるほどの驚愕反応を示したりすることがあります。また、気づかずに体には常に力が入り続けていることもあります。加えて、睡眠障害が出たり、癇癪やイライラが慢性的に続く場合があります。

フラッシュバック

著しい恐怖を伴うトラウマ体験の記憶は、通常の処理がなされず、非常に鮮明で断片的なトラウマ性の記憶として脳に保存されます。これらの記憶は、本人の意思とは無関係に繰り返し想起され(悪夢の場合もある)、出来事を体験している時と同じような心理的苦痛と身体的反応が引き起こされます。

回避

トラウマ体験を想起させる活動、場所、人、物などを避けるようになります。その出来事のことを考えないようにしたり、話さないようにしている場合もあります。回避すると一時的に苦痛は避けられますが、生活の範囲が制限されてしまうことがあります。また、回避症状強い場合は、誰かに相談することもできにくくなります。

認知や気分の異常

トラウマ体験の重要な部分を思い出せない、必要以上に長く自分を責めたり、周囲の人を責めたりすることがあります。また、肯定的な感情を生き生きと感じられなくなるため、以前楽しめていた活動をしなくなったり、引きこもりの状態になることもあります。

麻痺・解離

トラウマを体験している間、恐怖や痛みを感じなかった(感情・身体の解離)、途中から記憶がない(健忘)、身体が金縛りにあったように動かなくなった(身体感覚の解離)、自分の魂が抜け出て、自分をそばから見ていた(離人症)などが起きることがあります。それらはトラウマ体験の最中に苦痛を麻痺する手立てとしてはある程度、有効です。しかし、そのような特徴がその後も長く続き、些細なストレスや葛藤状況で起きるようになると、生活の質を著しく低下させてしまいます。

②複雑性PTSD・発達性トラウマ

トラウマについて

虐待やDV、いじめ、不適切養育など、逃げることが難しい状況で繰り返し傷つけられる経験をすると、1回限りのショックトラウマを受けたときの反応に加えて、感情調整の困難さや、自己否定感、対人関係の困難さなど、人生上の様々な困難が出てくることがあります。それは複雑性PTSDと言われています。また、幼少期や発達過程で慢性的なトラウマに晒されることで、心身に様々な反応が現れ、発達上の課題を持つこともあるため、発達性トラウマと言われることもあります。

発達上の複数のトラウマが複合した心身の反応として、以下のことが起こる可能性があります。

 

  • ・身体的反応(頭痛、めまい、肩こり、吐き気、微熱、身体の痛み、過敏性腸症候群、ぜんそく、甲状腺や腎臓の不調、PMSなどの婦人科系症状、皮膚疾患、自己免疫疾患等)
  • ・自己肯定感の低さ(自分を大切だと思えない、自分を粗末に扱ってしまう、人から酷い扱いを受けてもしかたないと思ってしまう)
  • ・恥や罪悪感(自分は価値がない、恥ずかしい人間だ、自分が悪いのだと思ってしまう)
  • ・安全なサインの読み違え(子ども時代に自分を守ってくれるはずの養育者や大人から加害を受けたため、自分にとって心地よいものとそうでないものの違いが分からない)
  • ・自分の感情の分からなさ(本来嫌なはずのことにも何も感じなかったり、ただ動けなくなってしまう、子ども時代に感情を表現するともっと加害を受ける危険があったため、感情に気づいたり、表現したりしないことがパターンになっている)
  • ・解離(感情を切り離して何も感じなくなる、本来回避したいことも受け入れてしまう、自分の中で意識が切り離されて、断片化した自分がなんとか日常をやりくりしている)
  • ・他者との交流の難しさ(子ども時代に養育者から、人と心地よく交流する方法を学ぶことが難しかったため、人を傷つける言葉や態度を取ってしまう)
  • ・感情調節の難しさ(怒りや恐れ、激しく落ち込むなど、感情の乱高下がある)
  • ・境界線の混乱(人と適度な距離で付き合うのが難しい、やさしくしてくれる人にしがみついたり、逆に拒否したりする、問題がある人に依存されたり、搾取されたりしてしまう)
  • ・孤独(強い孤独感がある、孤独を紛らわすために加害的な人に深入りしてしまったり、危険な薬物や危険な性行為を繰り返してしまう)
  • ・自傷や食行動の問題(恐怖による凍り付き状態の不快感から自傷行為をしてしまう、過食や拒食をしてしまう)

生きづらさの背景にはトラウマが影響している可能性があります。
トラウマをケアすることで、あなたらしくより良く変わっていくことができます。